辺境で船を漕ぐ

自分が読みたい言葉を書きます。

とあるライブの振り返り

たまには日記らしい日記というのも書いてみます。何となくですが、日々の出来事を書く時には、誰かに話すようなイメージがあります。ブログで、「誰かに話す」というと、やや不特定多数を想定する事になります。そういう時の自分はですます調になる傾向があります。要するに言葉のベクトルが外側に向くか、内側に向くか、の違いということです。その差を語尾のリズムで分別しているみたいです。

 

さて、先日2月29日は、地元の音楽レストランのベアーズさんにて、セッションライブに参加しました。こちらのお店です。

http://bears-aomori.com/

こういう自分の生活上の手掛かりになる情報をブログに書くのは、正直躊躇う部分もあるのですが、そんな事言ってたらどんどん書き方が制限されて更新頻度が落ちる事が分かったので、もう書いてしまうことにしました。正直にいこうと思います、自分に。

さて、セッションライブという名目なのですが、例えばジャズやブルースのセッションみたいに、その場で曲を決めてやる形式とは微妙に違います。やる曲自体は事前に決まっています。ただ、事前に集まってのリハーサルや打ち合わせ作業をしません。お互いの出音が当日まで分からないまま、ぶっつけの本番が始まります。なので、例えば参考音源のキーがベースとピアノの方で違っててアレ?となったり、実は耳コピを間違えていて、コードチェンジが変だな、となったりします。何だか書いているだけでドキドキしますが、そういうトラブル含めて、その場で出てきたものに合わせて行くのがセッションライブの醍醐味だったりします。

今回のライブは3部構成になっていました。1部がロック系、2部がアコースティック、3部がジャズ系です。私はキーボード担当で、1部のロック系2曲をやり、2部はお休みして、3部はラストまで出ずっぱりでした。数えてみれば、全部で9曲やった事になりますね。その内の8曲はコード進行が分かりやすかったり、周りの人の助けが借りられるタイプの曲だったりなのでなんとかなるのですが、1曲だけヤバいのが混じっていて大変でした。


https://youtu.be/kjq6Cv7no4w

以下、気が付いたら楽曲解説みたいな事になってました。わかんない人置いてけぼりですが、御容赦ください。

渡辺香津美unicornという曲です。テーマのリフはリズムキメキメでズレたら死にます。16分音符中心のフィーリングなんですが、シンコペーションになったり、基本的に16部音符の裏を取っていく感じです。逆に言えば、表の休符をいかに感じていられるかが肝ですね。まず、こういうタイプのリズムの経験が無かったので大変でした。この曲に関しては、音高の確認よりリズムの練習の割合が多かったと思います。

リズムも難しいのですが、コード進行も独特です。一応、キーはDマイナーと見なせるのですが、1度も使われないです。

仮にアタマのアウフタクトを1小節と数えれば、ひと回しが12小節になります。それをブルース進行と見なせば、12小節目のD7をトニックドミナントと見なせます。ジャズスタンダードでいうと、The chickenや、black coffeeみたいなやつです。納浩一さんの理論書の記述に従えば、スペシャル・ファンクション・ドミナント(S.F.D)に分類されます。シリのドミナントから始まり、アタマのドミナントに抜ける、というのが基本的な構成ですね。この最初のメインテーマをAパートとしておきます。

メインテーマ後のギターソロは、Aパートのうちの4小節を繰り返します。このソロの裏で鳴ってるエレピのバッキングがファンキーでカッコイイんですが、難しくてなかなか苦労しました。本番でも結構音はずしていたので悔しかったです。

原曲では、ギターが8回分のソロ回したあと、メインテーマに戻ります。そこで終わりかと思いきや、今度はBパートが始まります。16分音符のフィーリングはそのままですが、Aパートよりもリズムの波が広く大きくなります。使われるコードも2つしかないので、コード進行の点からも、間隔が空いて、空間が広がる印象です。ここはヴィブラフォンのソロがメインですね。尺自体はそんな長くないですが、構成が明確で分かりやすいソロです。本番当日ヴィブラフォンは居なかったので、私がシンセでソロをとる事になってました。譜面はあったのですが、いつも8分音符でしかソロが取れていない自分にとっては、そこそこに大変でした。練習を初めた当初、原曲と同じテンポでは全く歯が立たなかったので、速度を落として音を確認しました。あとはセクション毎にフレーズを切り、それぞれ難易度を腑分けしてみて、例えば難しい部分でつまづいでも、その後にあるここのフレーズで復帰する、とかそんな事を考えながら練習しました。

結果的にこの曲を練習した時間9割の、他の曲1割みたいな状況になってしまいました。おかげでこの曲については、まあ何とかそれっぽい感じになったんですが、他の曲があまりに付け焼き刃過ぎて課題が残る結果になりました。なまじっか周りの楽器隊のレベルが高く、自分が打てば打つほどいい球を返していただけるような素敵メンツだっただけに、悔しかったですね。いつでもいい球が打てるように、日々精進です。